娘
私が母を愛しているにもかかわらず、許せず粗末にしてしまったことに、取り返しがつかないことをしてしまったといまさらながら苦しんでいる。
その原因が成育歴にあったと思いたがっている。
大切にされなかったという思いがある一方で、母なりに精一杯尽くしてくれたのを認められなかった自分が情けない。
私が、成育歴のせいで、こんな情けない人間になったのだとしたら、娘がこんな風になったのも私のせいだということになる。
娘が私のものを売り飛ばす人間になったのは私のせいだということだ。
彼女にとって、使わないものはごみ、私の母が私にくれたり残してくれたもの、私が使わずにおいているものは、場所をとるごみでしかなかったのだ。
大切に集めていたハンカチや、本類をいつのまにかメルカリで売り飛ばしていた。ものにこめられた私の心もごみということだろう。
どうして人のものを勝手に自分の金に換えることができるのか、不思議だ。世間には人を殺して金を奪う人間もいるから、娘はましなほうだろう。
娘や夫は、それくらいのことで、いつまでも根に持つなんて、最低な人間だというに違いない。
夜になると、憎しみがわいてくる。夜はそんな時間なのだろう。
因果応報と自分をなぐさめる。傷つける側は傷つく側の痛みがわからない。私も母をはじめ誰かにしたことが返ってきているのだろう。家族だから許さなければと思うのも苦しい。本当に許せないからだ。
お母さんも私を許さなくていいよ。冷酷な私を。
私も私を許せそうにないよ。
だから苦しい。わかっていても、自分を含め、許せないやつが消えてくれない。
今はそんな状態。